世の中に、仕事を楽しむ人が増えてほしいから。はたらクリエイトの労働契約や制度を公開します

こんにちは。取締役COOの高木です。
はたらクリエイトでは、長野県上田市・佐久市を拠点に、子育て中の女性を中心とする約100名のスタッフが働いています。
私たちは立ち上げ当初から「地方における女性のキャリア課題」に向き合い、「どうしたら環境や属性による制約を越えて、楽しく働くことができるのか」を考えてきました。
今回「世の中に、仕事を楽しむ人が増えてほしい」という願いから、これまでつくってきた、労働契約の仕組みや制度について情報を一部公開することにしました。
「仕事を楽しむ人を増やしたい」「より良い組織をつくっていきたい」という皆さんに、少しでも参考になれば幸いです。
高木 奈津子|たかぎ なつこ 長野県上田市で株式会社はたらクリエイトを設立。取締役COO、キャリアコンサルタント。出産・介護・パートナーの転勤等を理由に、仕事にブランクがある約100人の女性を雇用し、キャリア再構築の仕組みづくり・組織開発に取り組む。伴走 / ともにつくる / いかしあう / 仕事を楽しむ人を増やす Twitter:@hatakuri_takagi
はたらクリエイトで働く人たち
まずは、はたらクリエイトで現在どんな人が働いているのか、その属性を紹介します。

はたらクリエイトで働くスタッフのほとんどが、結婚や出産・子育て、パートナーの転勤などを機に、仕事から一定期間離れた経験を持つ女性。保育園から小学校低学年までの子どもが多いのが特徴です。

それ以外にも、家族の介護をする人、過去に精神的な理由で就業が困難になった経験を持つ人、定年後のセカンドキャリアにチャレンジしたい人など、さまざまな年齢層の人が集まっています。

「パートナーの地元に戻ってきた」「パートナーの転勤に付いてきた」という人が多く、県外出身者が多いのも特徴です。また地元出身者であっても、ほとんどが、大学進学や就職のときに一度は別の地域に出ています。
「身近に知り合いが少なく、仕事を通して社会とつながりたい」、「以前都心部などで働いたことがあり、子育てしながらでも経験を活かしてキャリアを積んでいきたい」といった想いが、はたらクリエイトを選ぶ動機になっているようです。
複業で関わる人も増加中
また、これまでに「東京在住の営業」や「四国在住の広報」など、複業で業務委託として関わってくれているメンバーもいます。それぞれの経験や強みを集結して、ともに時代の変化に柔軟に対応していける組織をつくっています。

※業務委託メンバーを交えた定例ミーティングの様子
はたらクリエイトの労働契約の種類
はたらクリエイトの労働契約には、主に5つの種類があります。労働契約は、それぞれのライフステージの状況や、働く上でのスタンスなどに応じて、一人ひとり相談しながら決めていきます。ここでは、それぞれの労働契約の特徴についてご紹介します。

※細かい規定は、雇用形態別の「就業規則」や、個別の「労働通知書 兼 雇用契約書」、「職務覚書」、「アライアンス合意書」などに記載しています
有期パートタイマー
有期パートタイマーは、期間を定めて短時間で働く雇用形態です。主に、「入社直後の研修中のスタッフ」「ライフステージの状況により、短い時間で働きたいスタッフ」がこの働き方になります。
研修期間
入社後3カ月は「研修期間」として、有期パートタイマーからスタート。Off-JT(座学研修)と、OJTを経て、基礎スキルを身につけながら、ワークライフバランスを整えていきます。他の雇用形態と同様に「フレックスタイム制」を適用しますが、先輩スタッフがフォローしやすいように、業務に慣れるまではフレックスタイムの幅を狭めています。
研修期間中に一定の業務スキルをクリアし、カルチャーフィットしながら、ともに成長していけることを合意できた場合に、契約更新となります。
有期パートタイマーの契約更新
3カ月~半年に一度の頻度で、契約更新面談を行っています。労働契約法に基づき、有期パートタイマーの継続更新の上限を5年間と定めているため、それぞれのライフステージの状況を確認しながら、少しずつステップアップしていけるようにサポートしています。
無期パートタイマー
無期パートタイマーは、期間の定めを設けずに、月80時間~120時間の範囲で働く雇用形態です。「扶養の範囲内で働きたい」「いずれ正社員を目指して少しずつ時間やスキルを伸ばしていきたい」といった想いを持つスタッフが、主にこの働き方を選択しています。
業務内容やスキルに応じて、「在宅勤務」や「職務」などの働く選択肢を広げながら、キャリアを積んでいきます。
短時間正社員
短時間正社員は、期間の定めを設けずに、フルタイムの正社員よりも短い月130時間~150時間の範囲で働く雇用形態です。「扶養の範囲を超えて、収入を増やしていきたい」「時間を増やしてより裁量の大きい仕事にチャレンジしていきたい」というスタッフが、パートタイマーから転換しています。
これまでの3年間で、6人が無期パートタイマーから短時間正社員に転換しました。
正社員
正社員は、期間の定めを設けずに、フルタイム(月160時間)で働く雇用形態です。他の雇用形態に比べてコミットする時間が長いため、管理職や専門職として活躍することがほとんどです。
現在4人のフルタイム正社員が働いています。
業務委託
お願いする役割や業務に応じて、契約を結ぶ労働契約です。
これまでに、営業や広報、マーケティング、コンテンツ制作など、その人が強みとする領域で関わってくれている業務委託メンバーが6名います。
働き方に関する制度・取り組み
それぞれが主体的に自身の働き方を選択し、「仕事を楽しんでいける」状態を目指すために行っている、制度や取り組みを紹介します。
託児所
はたらクリエイトのオフィスには、託児所を併設。従業員の1歳から3歳までの子どもを預かっています。業務時間は別のフロアで過ごしますが、お昼時間は、子どもたちと一緒に過ごします。

子連れ出社制度
普段、保育園・幼稚園や小学校に通う子どもも、小学校の臨時休校や長期休暇の際に、一緒に通勤することが可能です。スタッフがより業務に集中し、子どもたちも良い時間を過ごせるように、「プログラミング教室」「街探索」など、小学生向けのプログラムも開催しています。

※小学生プログラミング教室の様子
フレックスタイム制
子どもの体調不良による急な休みや、幼稚園や保育園の都合にも対応できるように、フレックスタイム制を導入しています。園のイベントに合わせて休みを取ったり、子どもの送迎時間に合わせて出勤退勤時刻を調整したりと、柔軟なシフト設計が可能です。
月の稼働時間は、雇用形態ごとに定める時間の範囲内で個別に申請。月の時間を満たすように、それぞれが出勤・退勤時間を設定します。
クライアント企業様からいただく業務の運営に支障が出ないように、スタッフ全員でシフトを常時共有し、カバーし合いながら事業を運営しています。

在宅勤務
入社3カ月以上の経過して一定のスキルを習得していることを条件に、業務内容に応じて在宅勤務を承認しています。基本的には出社を推奨していますが、在宅勤務を併用しているスタッフもいます。
また、コロナ禍で在宅勤務を推奨したため、遠隔でのコミュニケーションがより円滑になりました。それぞれが成果を最大化するために、工夫しながら働き方を選択しています。
クラウドツールの積極活用
クライアント企業様やスタッフ同士とのやり取りを遠隔で進めることが多いため、より円滑に業務を進めるために、クラウドツールを積極的に活用。ツールの使用方法に関する研修や勉強会も実施したり、状況に応じて適宜ツールを導入・変更したりしています。
使用しているツール(一部)
Chatwork、Slack | 日々の業務連絡 |
Zoom、Google Meet | Web会議 |
Google Workspace | 勤怠・スケジュール管理、ファイル・データ管理、各種システム連携 |
freee | 会計・給与・労務管理 |
board | 見積・請求管理 |
asana、Backlog | プロジェクト管理 |
カオナビ | 従業員情報管理、共有 など |
関係性の維持
どれだけ制度を整えても、家庭の事情などによって退職に至るケースもあります。そこで、働ける状態になったときにもう一度戻ってこれる「カムバック制度」や、卒業生との関係性を維持するための「アルムナイグループ」を設けています。
また、パートタイマーに対しても産休・育休の取得を推奨しています。産休・育休を取得するスタッフに対して安産のお守りを渡してみんなで送り出すなど、復帰しやすい雰囲気をつくっています。

主体的なキャリア選択・再構築を促す仕組み
研修や実務を通してブランクを埋めながら、より長期的なキャリアを描いていけるように、後押ししています。ここでは、スタッフが主体的にキャリアの選択や再構築をしていくための仕組みを紹介します。
ライフステージにあわせて選択
ライフステージに合わせて雇用形態を選択し、徐々に時間を増やしていくことが可能です。パートタイマーと正社員の間に細かなステップを設けることで、少しずつキャリアを積んでいくことができます。ほとんどのスタッフが入社から1年間のうちに、働く時間を増やしています。

働く時間を自ら設定
毎月、雇用契約にあわせて個別に働く時間を申告します。毎月「自ら決める」ことを繰り返すことで、自身のキャリアに目を向けるきっかけになります。
また、毎月の勤務時間とあわせて、「はたクリアンケート(業務/ライフワークバランス満足度調査)」も実施。必要に応じて個別面談を行いながら、働き方の選択をサポートしています。
経験を積み、ステップアップしていくための制度
目の前の業務だけでなく、今後のスキルアップや組織への働きかけなど、さまざまな経験を積んでもらうための制度を作っています。
制度(一部)
みんクリmtg | 全社に制度や取り組みを提案 |
チャレンジ調査 | 新しい業務やポジションへのチャレンジを申請 |
研修申請 | 担当案件の提供価値を高めたり、専門性を磨くための研修を提案 |
シスター制度 | 新入スタッフを先輩スタッフがサポートしながら、ともに成長を目指す |
心理的安全性や従業員エンゲージメント向上のための取り組み
また、「自分の意見を伝えていいんだ!」「この組織やクライアントのためにがんばりたい!」といった心理的安全性やエンゲージメントを高めるための取り組みも、定期的に行っています。
取り組み(一部)
全体会 | 月に一度全員で集まって、方針共有や取り組み発表を実施 |
ワークショップ | 年に2回程度、全スタッフをシャッフルして実施 |
キャリアアンカー | 仕事への価値観の傾向を知る診断テストを実施し、共有 |
ストレングスファインダー | 個々の強みが分かる診断を実施し、取扱説明書を作成 |
スタッフ紹介リレー | スタッフの素敵な一面を順番に紹介 |
クライアント紹介リレー | 担当クライアントを順番に紹介 |
はたクリPON! | 会社のMISSION・VISION・VALUEを体現するスタッフに感謝を届ける |
はたクリユース | 子ども用品や雑貨をみんなで交換 |
シャッフルランチ | スタッフ同士の交流を深める |
手作りランチday | スタッフの手作りランチをいっしょに食べる |
アワードの受賞
第8回日本HRチャレンジ大賞「人材マネジメント部門優秀賞」
厚労省主催 グッドキャリア企業アワード2020「イノベーション賞」
多様な働き方を実現するための勤怠・生産性の管理方法
多様な働き方を取り入れることで、管理が複雑になりがちです。そのため、はたらクリエイトでは「情報の集約・一元管理・生産性の可視化・システム連携」と、ルールづくりにも力を入れてきました。
情報の集約・一元管理・生産性の可視化・システム連携
全スタッフが日々の勤務時間や、案件・業務単位の稼働時間を細かく記録し、その情報を集約。案件ごとに生産性を可視化しています。また、各システムと連携することで、業務の効率化を図っています。

※詳細は改めて別記事にて紹介します
急な休みが発生したときのルール
「子どもの急な発熱」など、やむを得ない事情で当日の勤務が困難になることもあります。その場合に、業務に支障が出ないようにルールを設けています。

これらをつくる過程で大事にしてきたこと
これまで、労働契約の仕組みや制度をつくる大事にしてきたのは、一人ひとりの声に耳を傾け、「どうしたら楽しく働いていけるのか」を、ともに考えること。
そして「社会的価値と経済的価値」「顧客価値と従業員価値」「権利と責任」などのバランスや、「負荷の偏りや課題感がないか」「継続発展していけるか」といった点に何度も立ち返りながら、試行錯誤を続けてきました。
働き方の選択肢をともに広げながら、本人が主体的に選択していけるように。
個と組織の∞の可能性を、ともに楽しめるように。
まだまだ道半ばではありますが、現在中心となっている「長野県の子育て中の女性」に限らず、今後多くの人たちとともに挑戦を続けていきたいと考えています。
ここまで読んでいただいて、何か感じていただけたものがあれば、ぜひお気軽にご連絡ください。「はたらくをクリエイトすることで仕事を楽しむ人を増やす」チャレンジをともにできる仲間が、増えることを願っています。
