はたらクリエイトの社名と、ミッション・ビジョン・バリューができるまで

こんにちは。取締役COOの高木です。
はたらクリエイトでは、現在子育て中の女性を中心に約100名の従業員が働いており、「banso.(旧hatakuri.)」を展開しています。

今回は、はたらクリエイトの社名、ミッション・ビジョン・バリューについて、生まれるまでの経緯や葛藤、浸透するための工夫などをご紹介します。

高木 奈津子|たかぎ なつこ
長野県上田市で株式会社はたらクリエイトを設立。取締役COO、キャリアコンサルタント。出産・介護・パートナーの転勤等を理由に、仕事にブランクがある約100人の女性を雇用し、キャリア再構築の仕組みづくり・組織開発に取り組む。共に創る / 補い活かし合う / リモートチーム / 仕事を楽しむ人を増やす
Twitter:@hatakuri_takagi

はたらクリエイトのミッション・ビジョン・バリュー

株式会社はたらクリエイトが2020年6月現在で掲げている、ミッション・ビジョン・バリューは以下の通りです。

ミッション・ビジョン・バリュー

「社名」と「ミッション(Mission)」はわたしたちの存在意義、「ビジョン(Vision)」は実現したい未来、「バリュー(Value)」はそれらを実現するための指針として定義し、日々の組織・サービス運営の根幹としています。

これらは、事業開始当初から定めていたものではなく、組織の成長とともにつくり上げてきました。また、社名とミッションを揺るぎない軸としながら、社会環境や関わる人の変化に応じて、ビジョンやバリューを見直していくというスタンスを持っています。

ここからは、それぞれが生まれた経緯や、そこに込めた想いについて紹介していきます。

ミッション・ビジョンバリューが生まれた経緯

※タックマンモデル(チームビルディングのプロセス)より



社名・ミッション

わたしたちのミッションは、「はたらく」をクリエイトすることで仕事を楽しむ人を増やす。このミッションは、わたしたちの社名である「はたらクリエイト」という社名に込めた想いを言語化したものです。

社名・ミッションができた経緯

わたしたちはもともと、コワーキングスペースを運営しており、その中で直面した「地方における女性のキャリア断絶」という課題に向き合ってきました。

2015年から「女性と社会をつなぐコワーキングスペース」としてコミュニティを醸成してきたことで、事業を開始した2017年には「子育て中の女性たちが働きやすい職場」というイメージが広がり、半年間で約40名の子育て中の女性が従業員として加わってくれました。

一方で、「サービスとして・組織として社会に提供していく価値」を十分に定義できていないまま急速に組織をつくったため、事業開始当初は「クライアントからサービスとして求められる価値」と「従業員それぞれが求める働き方」のギャップが課題となっていました。

この頃は日々の業務に忙殺されながら、クライアントと従業員の狭間で、
「何のためにこの事業をやっているのか」
「自分たちは何を大事にしたいのか」

が見えずに悩むことも多かったように思います。

そんなとき、法人格を「一般社団法人」から「株式会社」に変更することに。ここまでフルコミットしてきた取締役と保育士で集まり、改めて事業の目的に立ち返りながら、社名の検討を重ねました。

「強みをいかしあい、弱みを補いあいながら、働ける場にしていきたい」
「女性が笑顔でいられることで子どもにも良い影響をつくりたい」
「いまは子育て中の女性が中心だけど、さまざまな事情から働くハードルがある人たちが、挑戦していけるような仕組みをつくっていきたい」
「社会的価値だけでなく、経済的価値も生み出す集団であり続けたい」
などの意見を出しあいながら、

「働き方をみんなでつくっていくこと・それを楽しんでいくこと」
が共通の願いであると分かち合いました。

そうして生まれたのが「株式会社はたらクリエイト」という社名です。

当初は社名だけでしたが、社内への浸透・社外への発信強化のために、ミッションも定義しました。ミッションを伝えていく中で、価値観のズレを感じて退職していく従業員もいましたが、組織としての軸が明確になったことで、より前に進みやすくなった感じています。


バリュー

わたしたちが現在バリューに掲げているのは、「とにかくやってみてから振り返ろう!」「変化を楽しもう!」「disagreeをagreeしよう!」の3つです。
 

バリューができた経緯

「はたらく」をクリエイトすることで仕事を楽しむ、というミッションを掲げてみたものの、「はたらくをクリエイトするって具体的にどうすればいいの?」「仕事を楽しんでるってどういう状況?」という声が従業員からあがるようになりました。

組織フェーズとして、いきなり高尚なことを求めるのではなく、みんなで一つひとつ目の前のことを積み重ねていくことが大事だと考え、その指針となる「バリュー」をつくることにしたのです。

当初よく耳にしたのが「やったことがないから不安」「成長できているのか自信がない」「あの人がなぜこういう考えをするのか理解できない」という声。それを払拭しながら、「はたらくをクリエイトしながら仕事を楽しんでいる」従業員の行動や発言をブレストすることからはじめました。

こうしてできたのが、3つのバリューです。
それを意識的に称賛する文化をつくることで、「大人になってからもこんなに成長できるとは思っていなかった」「なんでもできるんだなと自信になった」「違いを知って、より自分の強みも認識できるようになった」という声も聞かれるようになりました。

バリューのこれから

バリューを定義してから約2年が経ち、ほとんどの従業員がこの3つのバリューを自然と体現してくれていると感じています。現在のバリューは取締役で決めたものですが、さらに従業員みんなが自らミッションを体現していくために、このあと従業員みんなでバリューを再定義するワークショップをしたいと考えています。


ビジョン

わたしたちは、ビジョンをサービスごとに掲げています。
現在、主事業として展開している「banso.(旧hatakuri.)」のビジョンは、「共に成長するチームをつくろう」。共に成長するチームであるために、「共に”その先”を目指す」「期待をちょっと超え続ける」「”人と人”で仕事をする」ことを大事にしています。

ビジョンができた経緯

2017年の事業開始以降、目の前のクライアントからご相談いただいたものに応えていくことが最優先で、サービスを通して目指す未来や大事にしたいこと(ビジョン)を定義していませんでした。

事業開始から約3年が経ち、ようやく組織・サービスとしての基盤が確立されてきたため、改めてサービスの主体である従業員全員で、ビジョンを定義することにしました。

またサービスビジョンをより自分事として考えていくために、一人ひとりの「BEの肩書き」を考えるワークショップもあわせて行いました。

サービスビジョンをみんなで考えながら作ったことで、サービス提供者としての自覚と、視野の広がりが生まれたように感じています。

ビジョンのこれから

このサービスビジョンをもとに、クライアント企業様と伴走させていただきながら、より共に成長してけるようカスタマーサクセスを強化してまいります。

また、今後は「はたらく」をクリエイトすることで仕事を楽しむ人を増やすというミッションを軸にサービスを広げ、それぞれにビジョンを持って取り組んでいきたいと考えています。


ミッション・ビジョン・バリューを浸透させるための工夫

ミッション・ビジョン・バリューができる過程を共に過ごしてきた従業員もいる一方で、すでにできた状態で入ってくる従業員もいます。従業員全員で「はたらくをクリエイトすることで仕事を楽しむ人を増やす」をより体現していくための取り組みの一部を紹介します。

ミッション・ビジョン・バリューを体現する人に感謝を届ける「はたクリPON!」

「はたクリPON!」とは、はたらクリエイトのミッション・ビジョン・バリューを体現しているスタッフに対して、スタッフ同士で「ありがとう」を送り合う制度です。専用フォームからいつでも送ることができ、毎月の全体会で、前月に一定数以上の「ありがとう」が送られたスタッフを発表し、賞品が贈られます。

日常の業務の中でフォームを送ったり、毎月の全体会で称え合ったりすることで、ミッション・ビジョン・バリューの浸透につなげています。

  

仕事を楽しむための制度や取り組みを提案する「みんクリミーティング」

「みんクリミーティング」とは、「みんなはたらクリエイターミーティング」の略称で、会社をよりよくしていくための制度や取り組みを提案する場です。全体会で、毎月2~3個の提案があがってきます。

ミッションである「はたらくをクリエイトすることで仕事を楽しむ」ことを、日々の業務や職場環境の中で主体的に考え、提案し、実行するという経験を後押ししています。

 

クライアントへの理解を深める「クライアント紹介リレー」

「クライアント紹介リレー」とは、お取引いただいているクライアント企業様について、担当スタッフが、毎月の全体会で順番に紹介していく取り組みです。

発表を通して自身の担当クライアントの理解を深めるだけでなく、担当以外のクライアントについても知り、全体で「共に成長するチーム」であることを目指しています。

先輩が新人のスキル・マインドをサポートする「シスター制度」

「シスター制度」とは、1人の新人スタッフ(妹)に対して1人の先輩スタッフ(姉)が寄り添い、入社から3カ月の研修期間内の相談相手になる取り組みです。

新人スタッフは、身近な先輩スタッフの「話を聴く」「考えを知る」ことで、徐々にミッション・ビジョン・バリューの自分事化につながっていきます。また先輩スタッフも、ミッション・ビジョン・バリューに紐づく取り組みや制度の「目的や経緯を伝える」「共に考える」という経験を通して、改めて理解を深めるきっかけになっています。


 

社名、ミッション・ビジョン・バリューをつくる過程で大事にしてきたこと

わたしたちは、社名・ミッション・ビジョン・バリュー、それぞれが定義されるまでに約3年間かかりました。これは恐らく一般的ではありませんし、メリットもあればデメリットもあったように思います。(最近ではほとんどなくなりましたが、価値観の不一致などによる従業員との別れは、何度経験しても辛いものですね…)

その過程の中で、わたしたちが大事にしてきたのは、「何のためにやっているのか、どうありたいのか」という本質に立ち返ること。そして、誰かが決めたものを一方的に押し付けるのではなく、「背景や目的を伝え、お互いのスタンスを受け止め、共にどうあるとより良いか?」という対話を重ねてきました。

整い切っていない中で、ここまで一緒につくってきてくれた仲間たちや、その過程でたくさんの示唆を与えてくださったクライアント企業様をはじめとする関係者のみなさまに、改めて感謝を申し上げます。

これからも、「はたらくをクリエイトすることで仕事を楽しむ人を増やす」というミッションのもと、チャレンジを続けてまいります。

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ライタープロフィール

取締役CCO たまに迷子になる舞台監督

高木 奈津子
株式会社はたらクリエイト取締役COO /株式会社ten-to. 代表【2021年6月~】 新卒で東証一部の人材総合会社に入社し、求人広告の法人営業や、就職フェアの企画・運営を経験。2015年に長野県上田市に移住し、株式会社はたらクリエイトを起業。 個々が本来持つ力を引き出し、いかしあう組織づくりと制度設計、事業開発を行っている。