従業員の在宅勤務を支援する「リモート託児」。始めたきっかけや運用方法、利用者の声

こんにちは。はたらクリエイトの情報発信担当の金久美です。
はたらクリエイトでは、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、3月から5月末までの約3カ月間、在宅勤務に移行しました。在宅期間中、新たなチャレンジとして「リモート託児」を実施。「リモート託児」とは何か、生まれたきっかけや運用方法、利用者の声をご紹介します。

金 久美|きむ くみ
㈱はたらクリエイトCBO(ブランディング担当)。約100名いるスタッフの内、子育て中の女性が約90%という会社で、「はたらくをクリエイトして仕事を楽しむ!」を体現中。社内での肩書きは「会いに来る鬼アイドル」。社交性・コミュニケーション力・ポジティブさで構成。食べるのが好き。でも作るほうも好き。
Twitter:@gumi_hatakuri

在宅業務を支援する「リモート託児」とは

リモート託児とは、Web会議ツールを使って、自宅にいる子どもに遠隔で託児をする取り組みです。保育士がパソコンの画面越しに、子どもたちに向けてクイズや絵本の読み聞かせ、ゲームなどをして、子どもたちを見守ります。画面には参加する子どもたち全員の顔が映し出されるため、保育士と子どもだけでなく、子どもたち同士もコミュニケーションを取ることができます。

リモート託児の様子



「リモート託児」の取り組みが生まれたきっかけ

なぜ「リモート託児」を行うことになったのか、そのきっかけをご紹介します。

新型コロナウイルス感染症拡大防止のため在宅勤務へ移行

はたらクリエイトでは、2月末に発令された「全国小中学校の臨時休校要請」を受け、在宅勤務への移行を進めました。以前から在宅勤務制度を取り入れていたため、大きな混乱は生じなかったように思います。

一方で、ほとんど全員が在宅となることでのコミュニケーション不足や、先が見えない不安感によるメンタル不調などの課題が想定されたため、アンケートによる現状把握、改善施策なども並行して行いました。

 

子どもが一緒にいる環境での在宅勤務

在宅勤務に切り替えた後、スタッフから最も多く聞かれたのは「子どもが一緒にいる環境では集中しづらい」という声でした。業務中子どもに話しかけられたり、ミーティング中に声が入ったりするため、「普段通りに業務を進められない」「チームメンバーに迷惑をかけているのでは?」と悩むスタッフもいたようです。

「どうすれば、子どもが一緒にいる環境の中でもスタッフが安心して業務を進められるようになるのか」。さまざまな議論をする中で生まれたのが「Web会議ツールを使って、リモートで託児をしてみてはどうか?」というアイデアでした。
 

保育士と連携しチャレンジ!

はたらクリエイトには託児所があり、保育士が常駐しています。保育士も、子どもたちのお預かりがしにくい状況の中、「私たちにできることはないか」と考えていました。とはいえ、「リモートでの託児」は保育士も初めての経験です。お子さんを画面越しに託児することでどのような問題が起こりえるのか、イメージができない部分もありました。

しかし、はたらクリエイトのバリュー(行動指針)の1つは「とにかくやってみてから振り返ろう!」。スタッフが業務に集中できる環境を作るためにも、チャレンジする意義はありそうだと結論付けました。このようなきっかけから、リモート託児の取り組みがスタートしたのです。


「リモート託児」のルールづくり

リモート託児の運用では、通常の託児と進め方が異なります。数回のテストを経て、下記のルールを定めました。

対象3歳~9歳(小学校低学年)までの子ども
※3歳~5歳/6歳~9歳の2クラスに分けて実施
実施日時平日火曜~金曜 午前中1時間
料金無償提供(福利厚生として)
実施担当保育士・元教員4名が担当
実施方法Zoom、GoogleMeet
事前準備保護者に事前に「お子さんの情報」をいただく
利用方法利用希望者をつのり、共有カレンダーから希望する日を予約

「画面越しにコミュニケーションが取れる年齢」という観点から、3歳以上を対象としました。幼稚園・保育園の年齢にあたる3~5歳クラスでは、子どもたち一人ひとりとしっかりコミュニケーションがとれるよう、参加人数上限を3名に設定。6歳から9歳までの低学年クラスでは、子どもたち同士の交流が深まるように上限を6名で設定しました。

また、みんなが公平に利用できるように1カ月の利用上限を「3回」に決め、譲り合いながら利用してもらうようお願いをしました。
 

「リモート託児」実施の流れ

ルールが定まった5月上旬、リモート託児の取り組みが本格的にスタートしました。どのように定常運用したのか、実施の流れについて説明します。

①利用希望者が共有カレンダーから予約

利用希望スタッフに対し、Googleカレンダーの「リモート託児予約カレンダー」を共有しました。希望する日時に「子どもの名前」と「年齢」を記入し、予約をします。

②事前準備

実施の前日までに、子どもの情報を記入してもらいます。子どもの個性や好みに合わせた託児をするためにも、事前情報の回収はとても重要です。

<お子さんの情報例>

保護者名Sさん
子どもの名前Tくん
年齢5歳
好きなもの
(食べ物や遊びなど)
そば、トマト、新幹線、トーマス、シンカリオン
好きな遊び工作、プラレール、しりとり
リモート託児でやってみたいこと食べ物ゲーム、間違い探し

またスタッフには、「当日までにPCやタブレットを用意する」「Zoomアプリをダウンロードする」「インターネットの接続状況を確認する」など、リモート託児を行うための環境を整えてもらいました。

開始10分前に入室、親子で顔合わせ

託児開始10分前から接続を開始し、入室してもらいます。画面越しに保育士の先生と向き合うと、最初はどの子どもたちも緊張してしまうようです。リラックスした状態で参加してもらうためにも、最初はスタッフに同席してもらい、あいさつや自己紹介などをします。
子どもたちの緊張がほぐれ笑顔が見えてくる頃、スタッフは子どもの側を離れ、業務に戻ります。
 

託児実施

約1時間の間、保育士はいろいろなグッズやネタを活用し、託児を行います。子どもたちの集中力が切れないよう、画面を見てもらうための工夫が必要です。それぞれの保育士は強みを活かしながら、たくさんのネタを用意して託児に挑みました。回を重ねるごとに、子どもたちが喜ぶネタや、集中してくれるネタもわかるようになってきました。
 
ここで、リモート託児を担当した保育士の鉄板ネタをご紹介します。
 
3歳~5歳児クラス担当、千尋先生の鉄板ネタは「マジックカード」。

千尋先生とマジックカード

線だけで描かれた絵を引っ張ると、あら不思議。カラフルな絵が現われます。
 
3歳~5歳児クラス担当ひさこ先生、鉄板ネタはシアタークイズ。

ひさこ先生とシアタークイズ

クイズは子どもたちに大人気でした。
 
低学年クラスの美里先生は、読み聞かせが得意!

美里先生と紙芝居

子どもたち、紙芝居にくぎ付けでした。
 
面白かったネタや楽しかった遊びは、「もっとやりたい!」とリクエストがくることも。リモートでの1時間は長いように感じますが、意外と時間の経過が早く、あっという間に終わってしまいます。

振り返り

リモート託児が終了したら、利用したスタッフに感想を記入してもらいます。親だからこそわかる、子どもたちの意外な反応を知ることができました。
 
また、保育士は週に1度ミーティングを開き、どのような保育を実施したのか、託児中の子どもたちの様子などを共有しました。その上で、リモートでの課題点や今後改善すべきことなどを話し合い、次回につなげていきます。
 

利用者した子どもたちやスタッフの声

リモート託児を利用した子どもたちとスタッフの声を、一部ご紹介します。

子どもたちの感想

「なぞなぞに答えるのが楽しかった!」(Tさん・7歳)
「先生やお友達と話せてよかった!」(Tくん・5歳)
「ぜーんぶ楽しかった!」(Aくん・4歳)

 

利用したスタッフの感想

「クライアントとのミーティングがあったので、利用しました。安心してお任せできましたし、とても集中できました」(Hさん)
「毎日家の中にいると、家族以外とのコミュニケーションが限られてしまうので、とてもありがたかったです。子どもにとってよい機会になりました!」(Tさん)
「想像した以上に楽しんでいて、積極的に発言していたことに驚きました」(Mさん)

 

託児担当の感想

「チャレンジ前はどのような感じになるのかなと心配もありましたが、やってみると意外と子どもたちが楽しんでくれたのでよかったです。新しい保育スキルを見つけられたと思います」(千尋先生)
「低学年を担当しましたが、子どもたちと一緒になって遊べたので本当に楽しかったです!子ども同士のコミュニケーションも活発でした」(美里先生)
「こどもたちから『またやりたい!』『もっと遊びたい!』と言ってもらえたことがうれしかったです。子どもたちの個性を活かせる保育スキルを、もっと磨いていきたいなと思いました。」(ひさこ先生)

リモート託児の取り組みは、地元新聞社とテレビ局で紹介されました。リモート託児を実施した目的やきっかけとともに、子どもたちの楽しそうな様子、スタッフの声などが取り上げられました。「リモート託児」という新たなチャレンジは、はたらクリエイトの認知度を高めるきっかけになり、採用にもつながったのではないかと考えています。


 

チャレンジを続けることで、「働きやすさ」をクリエイトする!

リモート託児は、コロナ禍における在宅勤務期間中、子どもと一緒にすごしながらも業務に集中したいと考えるスタッフを支援するために生まれた取り組みです。預けたスタッフの負担が軽減されただけでなく、子どもたちにとっても家族以外の人とのコミュニケーションをとる良いきっかけとなったようです。また、かかわった保育士も、子どもたちとの新しい関わり方の中から、新しい保育の工夫や技術を身につけることができました。今後も、「はたらくを楽しむ人を増やす」ためのチャレンジを、積極的に進めていきたいと思います。
 
ともに成長するチームをつくるbanso.(旧hatakuri.)を運営する「株式会社はたらクリエイト」の詳細は、こちらのアニュアルレポートをご覧ください。

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