経営視点で組織のあり方を見つめ直す5つの切り口【プロコミュ 登壇レポート】

2021.10.20

こんにちは。ライターの青木です。
2021年6月30日に弊社の取締役CEmOの高木が株式会社プロリク主催のオンライントークイベントに登壇させていただきました。今回は、「経営視点でエンジニア組織のあり方を見つめ直す5つの切り口」をテーマにお話しした内容をご紹介します。当日のスライド資料も公開していますので、是非ご覧ください。

※プロコミュは株式会社プロリクが運営するエンジニア採用の知見や情報の発信と、副業人事の繋がりが生まれるオンラインコミュニティです。エンジニア採用に特化した人事向けにイベントを開催しています。

今回のトークイベントでは「エンジニアが力を発揮できる組織のあり方を見つめ直したい」と考える方に向けて、はたらクリエイトで日頃活用している『インテグラル理論の4象限』をもとに、エンジニア組織でも役立つ経営視点について解説しました。

「高木奈津子」と「はたらクリエイト」

こんにちは。株式会社はたらクリエイト・取締役CEmOの高木です。以前は「COO」として業務執行責任者の役割を担っていましたが、メンバー一人ひとりが業務の責任を役割分担していく中で、チームの力を発揮していく仕組みを作っていくという意味を込め、「あり方」を示す肩書きとしてCEmO(チーフ・エンパワーメント・オフィサー)に変更しました。

株式会社はたらクリエイトについて

株式会社はたらクリエイトは、長野県上田市と佐久市を拠点に事業を行っている会社です。

「はたらくをクリエイトすることで仕事を楽しむ人を増やす」をミッションに掲げ、さまざまな取り組みを行っています。

従業員の大半は、子育て中の女性。そのため、はたらクリエイトではオフィスに託児所を併設しています。昼休憩になると子どもたちのにぎやかな声が聞こえてくる環境です。

はたらクリエイトの歴史は、コワーキングスペースの立ち上げから始まりました。地域には、子育てをしながら仕事についている女性が少なく、パートナーの転勤や子育てをきっかけに仕事を辞めてしまった人がたくさんいると感じたことがきっかけです。「そのような人たちがまた、力を発揮していけるような環境を作っていきたい」という、社会課題を解決するための視点から始まった組織でもあります。

続いて、弊社のサービス「banso.」について紹介します。
banso.は、「ともに成長するチームをつくろう。」をサービスビジョンとした、社外に貴社専属のチームをつくり、業務をアウトソーシングできるサービスです。首都圏の企業様を中心にご依頼をいただいています。

仕事に対してどのようにモチベーションを維持していくかという視点から、働く環境を整えていくということを大切にしています。上田・佐久の両拠点にはキッチンが、佐久拠点には焚き火やサウナがあります。

また、自分に合った働き方を柔軟に選択できるよう、さまざまな雇用形態を設けています。勤怠や生産管理システムを独自に構築しているのも、はたらクリエイトの特徴の一つです。

また、スタッフの自主性をより発揮できるように、さまざまな取り組みを実施しています。

今回のゴール

今回のイベントでは、以下の2点をゴールにお話ししてみたいと思います。

前職でエンジニアの転職イベントや女性の転職支援などを行ってきた経験も踏まえながら、実践者の視点でお伝えしていきたいと思います。

経営視点でエンジニア組織のあり方を見つめ直す5つの切り口

まず、5つの切り口のお話をする前に『インテグラル理論の4象限』という考え方をご紹介します。

全体像を俯瞰する『インテグラル理論の4象限』

『インテグラル理論の4象限』とは、物事の全体を俯瞰するための地図のような役割を果たすものです。

『インテグラル理論の4象限』では、以下の4つに分けて考えます。

①【集団の外面】世の中で起きていることや集団で生み出しているもの、目に見えるもの
②【集団の内面】集団で目には見えないけれどもカルチャーや文化
③【個々人の内面】個々人の価値観や感情
④【個々人の外面】行動など目に見えるもの

例:リモートワークの影響

例えば、リモートワークを導入したときに聞かれた声を4象限に当てはめてみると、このようになります。

例:組織の場合

次に、「組織づくり」における要素を4象限に当てはめてみると、このようになります。

「全体の外面」には制度や環境、設計が当てはまり、それらを整備することでアプローチできます。「全体の内面」には、関係性やカルチャーが該当し、チームビルディング等によって深めることができます。「個々人の内面」は、思考や感情、価値観などを指し、深層的・認知的な能力開発により創造していくことができます。

「個々人の外面」については、行動や発言が入り、機能的、技術的なスキル開発によって変容を促すことが可能です。

バランスが取れることで持続可能な発展が繰り返される

4つの象限はバランスを意識して見ていくことが大切です。

エンジニアを例に解説すると、一人ひとりのプログラミングの質が上がっていくとサービスの質にもつながっていきます。サービスについて周りからの評価が得られるようになると自然と社内の雰囲気がよくなったり、エンジニアの自信につながったりします。周りとの関係性がよくなると、個人の思考にもよい影響があり、さらなる行動につながっていきます。一方で、サービスのマイナス面について指摘があった場合には、逆のことが起こります。ここでは一方的なサイクルを紹介しましたが、実際には、4象限は互いに影響し合っています。

組織の中で起こりがちなこと

組織の中では、「主観的」で「目に見えない」「図りづらい」内面の部分がどうしてもおざなりになりがちです。一方で外面の部分は目に見えて測りやすいため、「組織をよくしていこう」「課題に取り組もう」というときに仲間の合意を取りやすく、進行しやすいという側面があります。このため、「研修を取り入れよう」「売上目標を達成しよう」などの外面の施策に偏りがちになると言われています。

また、自分たちの商品やサービスの特性と一体になりやすいのも特徴です。たとえば、人材系の会社で「人を大事にします」と言う場合に、個々の価値観も大事にする傾向があります。一方で、ものづくりなどを行っている会社では、外面の部分により思考が寄っていくという傾向が見られます。

以上のことから、組織のあり方を見つめ直すときには、「組織の中において4つの領域がそれぞれどのようなバランスにあるのか」「どの領域に新しいものが生まれているのか」という視点で見ていくことが大事になります。
さらに4つの領域をそれぞれ行き来しながら、「今何が起きているのか」「どこの領域に偏っているのか」というところを確認することが重要です。

組織のあり方を見つめ直す5つの切り口

今回のテーマである5つの切り口を改めてまとめると、全体の外面と内面、個々人の内面と外面それぞれに着目し、融合させていくということが大切だと言えます。
日常の会話では、「今、集団の外側のことに思考が偏っている」などと意識することはあまりないかもしれません。一度起きていることを全体的に見渡し、現状の強み・弱みを認識するためにも、この4象限を使ってみることをおすすめします。

はたらクリエイトでの5つの切り口の活用事例

実際に、はたらクリエイトでは5つの切り口をどのように活用しているのかを、以下の4つの観点から紹介します。

A. これまでの組織の成り立ちを辿る

まず、4象限を用いて、これまでの出来事を整理することから始めました。miroというツールで付箋を使いながら、これまでどんな取り組みを作ってきたのかを、過去から未来に向かって洗い出していきました。

私たちはもともとコワーキングスペースの立ち上げから始まっているのですが、「コワーキングスペースから学び合いや助け合い、コミュニティや文化などが組織のあり方として生まれたね」「そこから個人でおもしろそうなどの価値観を持って入ってくる人が増えたよね」「スペースの中で仕事やプロジェクトが生まれたよね」といったことを4象限を見ながら辿っていきました。

実際にワークをした際には、「自然と生まれたもの」と「意図的に仕掛けたもの」に分けて付箋を貼っていきました。その過程で生まれたネガティブな感情なども貼りだしています。4象限としてまとめてみると、ネガティブなものが起爆剤となって生まれた取り組みや、外面の仕掛けにより起きた内面の効果などがあることがわかりました。このため、ネガティブな要素も大事なものだと感じています。また、私たちの事業はコワーキングスペースから始まったため、「集合・外面」から仕掛けていくことが得意なのではないかということにも気付きました。

4象限を使ってこれまでの歴史を辿り、仲間にシェアしていくことは、「私たちの組織にはこういう特徴があるよね」という組織の全体像を俯瞰するときに役立つと思っています。

B. 取り組みの背景に立ち返る(ストレングスファインダー)

4象限は、長く続いている取り組みを洗い出す際にも活用できます。ここでは、ストレングスファインダーを使って一人ひとりの強みを可視化し、取り扱い説明書を作るという取り組みを例にとり、紹介します。

この取り組みの背景にあったのは「仕事のブランクがあり、マネジメント体制が不足している」という課題感です。事業を開始して一度に40名ほど採用したため、マネジメント体制が取れていませんでした。
スタッフから「自分の強みがわからない」という声が挙がったため、研修などを通して自分の資質を把握することを行いました。
次に、「認められたい」という声が出てきたので、相手に気持ちを伝え合うようなワークショップをしたり、組織の中で心理的安全性が生まれたりという取り組みを行っていきました。

一方で、スタッフが増えるにつれ、顔と名前が一致しないという声も聞かれるようになりました。オフィスにプロフィールを掲示することで、人から見られるという経験を通してお互いに理解をしたり、違いを受け入れ合ったりするという新たな効果も生まれています。

また、サービスの構造上、評価制度を作りづらいため成長実感が得られづらいという課題もありました。そこで、まずは自分たちで強みをフィードバックし合い、成長実感を得ながら目標設定を行うことにしました。ストレングスファインダーの結果も活用して、お互いに活かし合う文化や自分自身で進化していこうという風土につなげていきました。

C. 起きている課題に対して目線をあわせる

起きている課題についての目線合わせをする際にも、4象限を活用しています。

もともと会社に期待されていないという声や、悲しいという感情が出てきた時期もありました。上の図は、そこに対してどのようなアプローチをしたらよいのかということを話し合った際に作ったものです。
起きている問題について、「どのような視点で語られているんだろう」「何が原因になっているんだろう」というのを洗い出しました。こうすることで施策に偏りが生まれづらくなったと感じています。
どうしても右側に偏ってしまいがちになりますが、総合的に見ていくことでバランスの取れた施策を打つことができるのではないでしょうか。

D. バランスを可視化して新たな動きを生み出す

4象限を組織の中にも取り入れることで、新たな動きも始まっています。

例えば、スタッフが新たな研修を考えるときに、これまで行ってきた研修を4象限に書き出し、壁に張り出すというワークショップを取り入れました。可視化することで偏りを認識し、新しいものを生み出すときにも活用できます。

ワークシート

こちらのワークシートは、4象限を使うときに参考にできる問いを入れ込んだものです。活用する際には、組織や課題などを一度広く俯瞰してみることがポイントになります。

4現象のツールのよいところは「対話を生む」ところにあると感じています。目線の違う人や価値観の違う人、立場の違う人の意見を違いとして認識することで、それら全てを包括し、メンバーそれぞれのあり方を尊重できると思っています。

組織の中で対話を生みたいときや、メンバーで話し合いたいとき、全体を見直したいときに活用してみることをおすすめします。曖昧なものを言語化し、どのような組織にしていきたいかをそれぞれの視点から洗い出してみることで、理解が深まったり、新たな発見が生まれたりする可能性があります。

はたらクリエイトとの融合の例

はたらクリエイトとも、ぜひ融合していただければと思います。
実際にオフィスをみていただいて空気感を掴んでいただけたらうれしいです。

まとめ

今回ご紹介した「5つの切り口」を活用し、多様な視点を取り入れながら組織の可能性を広げていくことが大切だと考えます。対話を通してメンバーそれぞれの価値観や思いを尊重し、会社全体を俯瞰してみることで、組織の可能性をさらに広げていくことができるでしょう。

はたらクリエイトでは、従業員全員で年始に書き初めを実施し「今年の一文字」は「融」としました。企業としての基盤ができてきた今だからこそ、より一層、一人ひとりにとっての「はたらクリエイト」に光を当て、「融和」し、未来を切り拓いていきたいと思います。