コーチングをはたクリ社内、そして地域へ。これまでの取り組みや今後の展望

コーチング取り組みまとめ

こんにちは、ライター 兼 コーチの佐藤映子です。はたらクリエイトでは、2020年10月頃から「コーチング」を社内に導入し、外部講師による半年間の講座での学びや、社内制度の立ち上げ、長野県を巻き込んだプロジェクトなどを実施してきました。今回は、「コーチング」を導入したきっかけや取り組んできたこと、今後の展望などについて、紹介します。

はたらクリエイトにコーチングを導入したきっかけ・想い

コーチングとは、思考の整理や、目標・ビジョンの言語化、行動促進するためのコミュニケーション手法の一つです。

1990年代後半頃から日本に取り入れられ、「人材マネジメント」手法の一つとして、ビジネスシーンで活用されるようになりました。近年では、働き方の多様化や社会環境の変化に伴い、人生設計について考える「ライフコーチング」が注目されるようになるなど、広がりを見せています。

取締役CEmO(チーフエンパワメントオフィサー)の高木が2020年からコーチングを学び始めたことをきっかけに、はたらクリエイトにもコーチングを取り入れることになりました。コーチングに込めた想いについて、高木はこのように語っています。

私たちのミッションである「はたらくをクリエイトすることで仕事を楽しむ人を増やす」をもっと実現していきたいという願いから、社内にコーチングを取り入れました。
コーチングを学ぶ中で、コーチングの「人はもともと欠けることのない満たされた存在である」「相手の可能性を信じる」というあり方に惹かれ、これを浸透させることが、「はたらクリエイト」を次なるステージに進める大きな力になる、と思ったんです。また私自身が、コーチングによって「人との関係性が良くなった」「自分やまわりの仲間の可能性が広がった」など良い変化を感じたので、純粋に「まわりの仲間にも知ってほしい」とも思いました。
そして、はたらクリエイトにコーチングを取り入れることは、自社の組織活性だけでなく、サービスとして地域や社会にも価値を届けていける可能性があるかもしれない、それに仲間とチャレンジしてみたい、そんな希望を持って導入を進めていきました。

これまでの取り組みについて

はたらクリエイトの中でコーチングを広めるために行ってきた取り組みについて、紹介します。

【2020年10月】ワークショップの実施

コーチングの学びを開始するのに先立ち、2020年10月に、希望者を対象とした「コーチングワークショップ」を開催。当日は、石川県からOriginの岡田裕介さん、ノビルらぼの石榑まりさん・室井洸星さんの3名を講師としてお迎えしました。

講師の方々と高木さん

ワークショップでは、まず「コーチングの概要」や、コーチングの「3大スキル」である「傾聴」「質問」「フィードバック」について説明していただきました。その後、「傾聴ワークショップ」や、コーチングのフレームワークの一つである「GROWモデルワークショップ」を参加者全員で体験。コーチングに参加したスタッフからは、「質問することよりも聴くことが重要であるという新しい気付きがあった」「GROWモデルを活用したワークショップを通じて、自分が一番気になっていることが分かった」といった声が聞かれました。

「コーチングワークショップ」の実施で聴くことの重要さを再認識。内容や参加したスタッフの声

【2020年12月】座談会の開催

ワークショップを通じて、コーチングに興味を持ったスタッフが多かったこともあり、2020年12月には、希望者を対象にコーチングに関する座談会を開催。「コーチング事業のイメージ」や「はたらクリエイトがコーチングに取り組む意味」「コーチング事業を通じて実現したい未来」などを、高木が話しました。

座談会終了後、スタッフ全員を対象に「コーチング事業をともに立ち上げていくメンバー」を募集し、全21名で動き出すことになりました。

【2021年1月】キックオフ

2021年1月、コーチング事業の立ち上げメンバーが集まり、キックオフを開催。働き方や担当業務がそれぞれ違うこともあり、互いに「はじめまして」のメンバーが多く、みんな緊張した様子だったことが印象に残っています。

キックオフでは、まず「今年の漢字一文字」を発表し、緊張をほどいていくことから始まりました。その後、「私がコーチング事業立ち上げに関わる理由」「プロコーチを目指すことの意味」について、ペアワークを実施。最後に、チームとしての「グランドルール」を話し合う時間がありました。そうして決まったのが、4つの「グランドルール」です。

グランドルール
①一緒にコーチングを学ぶ「仲間」であり「同期」であることを意識したコミュニケーション
②わからないことをそのままにしない・いいと思った情報はみんなに共有
③「成長」を人と比較しない!自分自身の成長に目を向ける
④相手を尊重・肯定し、興味を持って最後まで傾聴の姿勢を保つ

グランドルールのもと、この日から、チームとしての活動がスタートしました!

【2021年1月~5月】コーチング講座の受講

2021年1月には、全12回のコーチング講座が始まりました。講師を務めてくださったのは、株式会社はぐくむ代表で、プロフェッショナルコーチの小寺毅さんです。株式会社ガイアックスの黒岩さんが、サポート役をしてくださいました。

コーチ集合写真

講座内容は、大きく「傾聴編」「質問編」「フィードバック編」「応用編」の4つに分かれています。まず学んだのが、コーチングの土台である「傾聴」です。次に、クライアントの願いを引き出すために重要な「質問」を学びました。その上で、クライアントの気づきにつながる「フィードバック」を習得。最後に、「応用編」として、「タイプ別のコーチング」について学んだり、「コーチとして生きる意味」を一人ひとり考えたりしました。講座は、「ペアワーク」や「意見交換」の時間が多く、とても充実した時間を過ごせたと感じています。

【2021年4月~5月】コーチングを学ぶ学生を対象としたコーチング提供

2021年4月から5月にかけて、「コーチングを学ぶ学生」を対象としたコーチングプロジェクトを実施しました。このプロジェクトは「学生」と「地方で子育て中の女性」という、ライフステージの異なる者同士が違う視点で学びを深め、「はたらく」について探求することを主な目的としたものです。学生のLINEグループを通じて募集を行ったところ、10名の申し込みがありました。コーチング提供が主でしたが、「コーチ役」「クライアント役」を交代しながらセッションを進める「相互セッション」を行ったメンバーもいます。

学生からは「お母さんのような温かさを感じられたセッションでした」「お互いにコーチングを学ぶものとして、たくさんの『違い』や『気づき』などを感じることができました」などの感想が寄せられました。

コーチメンバーの感想
●緊張したけれど、自分のできることをやりきれたと思います。「コーチングって楽しい」と改めて感じることができました!(Tさん)
●自分とは、コーチングのスタイルが少し違う方とのセッションでした。いろいろなコーチングがあって良いんだと思えました!(Nさん)
●これまで経験したことのない、とても刺激的なセッションでした!『このセッションを経験したからこそ、今の自分がある』と思えるほど、充実した時間を過ごせました。(Sさん)

メンバーにとって、「気づき」や「学び」の多い時間だったようです。

【2021年5月~6月】長野県100人コーチングプロジェクトの実施

長野県在住者および長野県への移住を検討している方を対象に、オンラインコーチングを無償で提供する「長野県100人コーチングプロジェクト」を実施しました。

「コーチング」などの取り組みによって育んできた「主体的なキャリア構築」や「働き方の多様性」「いかしあう組織風土」が評価され、「グッドキャリア企業アワード2020」の受賞につながったことから、私たちが社内で育んできたものを、「コーチング」を通して地域にも還元し広げたいと想ったのが実施のきっかけです。7月には、プロジェクトに後援をいただいた長野県知事・阿部守一氏にもご参加いただき、シンポジウムをオンラインで開催しました。

コーチング利用者からは、「『答えは自分の中にある』ということを、感覚として実感し、自分の中にあった気持ちを吐き出すことができました」「コーチと一緒に『自分を知る・省みる・気付く』という対話を繰り返すことが、私の心と生活を豊かにすることにつながると感じました」といった声が寄せられました。

コーチメンバーの感想
●準備に準備を重ねましたが、初対面の方とのセッションにとても緊張しました。コーチとしてのスキル・経験不足を感じる場面があったので、自信を持って「プロコーチ」を名乗れるよう、コーチングを学び続けたいです。(Sさん)
●とても勉強になりました。「傾聴がうまくいかないときがある」「相手に共感しすぎてしまうことがある」といった自分の課題が見つかったので、克服していきたいです。(Tさん)
●コーチ自身が「ありのままの自分」を見せることが、初対面の方に心を開いていただくことにつながると感じました。これからも、背伸びしすぎず、「ありのままの自分」でコーチングを提供していきたいです。(Sさん)

「長野県100人コーチングプロジェクト」を通じて、コーチ一人ひとりがいろいろな気付きを得たようです。

「長野県100人コーチングプロジェクト」の詳細については、こちらの記事をご覧ください。

【実施報告】長野県100人コーチングプロジェクト~100人へのコーチング無償提供と長野県知事とのシンポジウムを開催~

【2021年6月~】コーチ同士でのガチコーチング

2021年6月からは、コーチングの実践やクライアントとしての経験を積むことを目的に、コーチ同士での「ガチコーチング」を実施しています。「ガチコーチング」は、1名が「コーチ」、もう1名が「クライアント」となり、1時間みっちりコーチングを行う時間です。業務における関係性がコーチングに影響しないよう、普段業務で関わることの少ないコーチ同士がペアを組み、コーチングを行っています。

コーチメンバーの感想
●一人のコーチとして、メンバーと本気で向き合える時間です。担当する2カ月間、相手と真剣に向き合い、成長を見守っています。(Kさん)
●クライアントとして過ごせる貴重な機会だと思います。「こういう問いかけの方法もあるんだ!」「●●さんのこんなところが素敵だな!」と、毎回多くの「気づき」や「学び」があります。(Sさん)

普段から「コーチ同士での練習セッション」を行っていますが、それとはまた違った良さが「ペアコーチング」にはあります。

【2021年7月】社内コーチング制度の実施

「コーチングとは、どういうものなのかを社内のみんなに知ってもらいたい」「まずは、全スタッフにコーチングを体験してみてもらいたい」という想いから、入社後3カ月以上経過している全スタッフを対象に、社内コーチングを実施。「自分の願いや想いをみつけ、口に出すことで一人ひとりの『はたらくをクリエイトすることで仕事を楽しむ』につなげる」ことを目的としていました。

コーチ一人につき、スタッフ4名のコーチングを担当。スタッフからは「自分のことを話すのは苦手だったけれど、今日はたくさん話せました」「コーチングへの興味はあまりありませんでしたが、実際に受けてみると、自分にとってコーチングは必要なものだと気づけました」といった声が聞かれました。

コーチメンバーの感想
●全くの初対面ではない方がクライアントだったため、落ち着いてコーチングできました。相手との関係性が、「コーチとクライアント」ではなく、「同じ社内のメンバー」になっていたときもあったように感じているので、改善していきたいです。(Iさん)
●社内ということもあってか、「本音を話して、本当に大丈夫か」不安に感じる方もいました。「安心」「安全」をどのように提供できるか、じっくり考えていきたいです。(Nさん)
●社内コーチングを通じて、「コーチングが必要な人に、コーチングを届けたい!」という想いが強くなったように感じています。(Tさん)

このあとは、希望者を対象に継続コーチングを提供していく予定です。

【2021年2月~】集いの会

2021年2月下旬から、隔週で実施しているのが、コーチが全員揃う「集いの会」です。「コーチ同士の交流の場」や「コーチングの学びを深める場」「チームとして、コーチング事業について考える場」としての役割があります。

前半は「コーチング事業に関する共有の時間」、後半は「コーチングの学びを深める時間」となっています。具体的な実施内容は回ごとに変わるため、毎回とても楽しみです。

集いの会で取り組んできたこと
●「反映」「認知」についてのワーク
●ICFの「コア・コンピテンシー」を読んでの感想シェア
●対象者別のコーチング提供について考えるグループワーク
●セルフコーチング勉強会の感想シェア
●サブパーソナリティについての学びとワーク
●「妨害者(サボタージュ)」と「賢者」についての学びとワーク
●「傾聴」の学び直しとワーク
●子育てコーチング講演会の感想シェア など

最近では、一人の人の中にいる多様なパーソナリティを意味する「サブパーソナリティ」や、心の中に住む自分自身の敵である「妨害者」などについて、学びました。学んだことを、今後のセッションに活かしていきたいです。

2021年6月には、新たな「グランドルール」をみんなで考える時間がありました。そうして決まったのが、3つの「グランドルール」です。

新グランドルール
①自分の心と向き合い、受容し、コーチングを楽しむ。
②経験したことを振り返り、良かったことも課題もシェアする。
③コーチングの学びを続けていく!

新グランドルールを胸に刻みながら、コーチ一同、これからもコーチングの学びを深めていきます。

【2021年7月】講師との交流会

7月12日には、コーチの小寺さん、株式会社ガイアックスの黒岩さん、樗木さんを上田オフィスにお招きし、交流会を実施しました。企画メンバーは、「講師のたけさんに感謝の気持ちを伝えたり、私たちの成長を見ていただいたりしたい」「1月から始まった『コーチとしての旅路』を一人ひとり振り返るきっかけにしたい」という想いから、準備を進めてきたと言います。

交流会の大まかな流れ
①:小寺さんへのメッセージ動画披露
②:事業報告
③:二人一組でのインタビュー
④:「ありたいコーチ像」の発表

まず始めに、コーチの小寺さんに感謝の気持ちを伝えるために作った、コーチ全員のメッセージ動画を披露。会場が、温かい空気に包まれました。続いて行ったのが、これまで行ってきた取り組みや、今後の事業の方向性についての発表です。小寺さんから感想をお聞きしたことで、はたクリならでのコーチング事業の可能性について、一人ひとりが改めて考えるきっかけになったと感じています。その後、二人一組になって、コーチとしての「これまで」「今度」についてインタビューし合い、最後に「どんなコーチでありたいか」を一人ずつ発表しました。十人十色の「ありたいコーチ像」を聞けるよい機会になっただけでなく、コーチングへの想いを再確認できた場になったと感じています。

交流会に参加したコーチからは、「コーチングを学び始めた頃を思い出すことができました」「感謝の気持ちやコーチングへの想いを、たけさんに直接伝えることができて、感動しました」といった声が聞かれました。

たけさん交流会

今後の展望

今後の展望について、高木はこのように語っています。

これから私たちが、より多くの方にコーチングを届けていくために「ともに可能性の輪を広げよう」というビジョンを掲げました。現在は2022年春のサービス本格始動に向けて、この「可能性の種」を、コーチメンバーや、プロジェクトにご協力いただいたみなさん、興味を持っていただいている行政・企業の方々と模索しはじめている段階です。いずれは、「コーチング」という概念がなくなるくらいに浸透して、「一人ひとりをいかしあう」「可能性を応援しあう」空気感が自然と生まれ続けるような、サービスや取り組みを仕掛けていけたらと思っています。

まとめ

私たちは、「コーチング講座の受講」や「社内外へのコーチング提供」を通じて、コーチングの学びやコーチとしての経験を深めてきました。結婚、出産、パートナーの転勤といった、さまざまなライフステージの変化を乗り越え、互いにいかしあいながらチームとして働いてきた私たちだからこそ提供できる価値が、まだまだあると感じています。コーチングで、ともに可能性の輪を広げ、「はたらくをクリエイトする」人を社会に増やしていきたいです。